2008年01月01日

前注&目次

・本ブログは、管理人が2月26日から3月8日にかけて挙行したドイツへの単身旅行の模様を、大してまとまりのない章立てと文体で紹介するものです。現在更新途上。できるだけ早期に全日程の内容をアップできるよう頑張ります
・更新/修正等した箇所については、すぐ下の【更新情報】欄に示します。
・記事に付されている日付・投稿時間は、旅行中の出来事が起こった日付や記事の順序とは必ずしも対応していません。閲覧にあたっては、下記の「目次」を使うと便宜かもしれません。
・写真も追々追加していく予定です。

【更新情報】
 4月13日:「ドイツにおけるマンガ」各記事に写真を追加。
 4月14日:「2月25日」「2月26日(1)」「同(2)」を追加。
 4月15日:「2月27日(1)」を追加。
 9月1日:「ドイツにおけるマンガ(5)ドイツ版ヘルシングについて」を追加(明日または明後日に追加更新予定)

《筆者の基本データ》
 性別:男
 年齢:20代
 海外旅行歴:2004年3月に1回(単身、イギリス+イタリア)

《旅行の行程》
 2月26日 成田→フランクフルト(観光・泊)
 2月27日 フランクフルト→ゲッチンゲン(観光)→フランクフルト(泊)
 2月28日 フランクフルト→ケルン・ボン(観光)→フランクフルト(観光・泊)
 3月1日 フランクフルト→マインツ(観光)→ハイデルベルク(観光・泊)
 3月2日 ハイデルベルク(観光・泊)
 3月3日 ゲッチンゲン観光、同泊
 3月4日 ハイデルベルク→ベルリン→ポツダム(観光)→ベルリン(泊)
 3月5日 ベルリン(観光・泊)
 3月6日 ベルリン(観光・泊)
 3月7-8日 ベルリン→フランクフルト→成田

《目次》
 まえがき
 準備
   (1)宿・交通機関等の手配
   (2)携行品について
 テーマ別
  テレビ事情
  書店事情
   (1)新刊書店
   (2)古書店
   (3)駅売店
  ドイツにおけるマンガ
   (1)何が「輸出」されているのか?
   (2)どこで、いくらで、売っているのか?
   (3)品揃えは、どうなっているのか?
   (4)「推奨年齢16歳以上」?
   (5)ドイツ版ヘルシングについて
  電車事情
  食事情
 日付別
  2月25日(出発前日)2月26日(1)2月26日(2)2月27日/2月28日
  3月1日/3月2日3月3日/3月4日
  3月5日/3月6日/3月7-8日
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2007年03月04日

2月27日(1)

■起床〜朝食〜ホテル出発

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 5時半に起床。私の旅行の朝は早い。それはそうだ、一人旅のうえに気弱なのでナイトライフを満喫するなんて、もってのほかだからである。

 朝食は6時半からなので、暇つぶしにテレビでも観ようとスイッチをつけると、昨日と同じ有様。ただ、本体のチャンネルを下げるスイッチを押し続けていると、故障しているボタンの効果と相殺されて正常に画面が表示されることに気付いた。というわけで、片手で本体のボタン、もう片手でリモコンのチャンネルスイッチ、を夫々押すというマヌケな体勢で各局を見る。

 ビックリしたのは、「LIVE!」というロゴが画面端に表示されている、おそらくは通販番組を主体とした局。そこでは、朝6時まで延々と、(日本で言うところの)ダイヤルQ2のアダルトチャンネルの宣伝をやっていた。一般家庭で普通に見られる局なのかどうかは分からないが(そうではないだろうな)、女の人の裸やら(さすがに局部は映っていないが、それ以外は映し放題)、色っぽく電話番号を読み上げる声やら、これ大丈夫なのかなと思った。そういえば、イタリアに旅行したときも、こんな感じの局があったような。

 6時半になり、朝食のため1階(ドイツではEGと言う。日本で言う2階から1Fとしてカウントが始まる)へ。当然の如くビュッフェ形式(要するに、食べ放題)。内容は、パン、ハム、ソーセージ、チーズ、ゆで卵、シリアル、飲料、といった具合。起床後1時間近く何も食べていなかったので、空腹に任せて山のように食べてしまう。近くに居合わせたドイツ人観光客が「朝から何を山のように食べているのか、っていうかお前欠食児童かよ」的な眼でこちらをチラ見した(そういえば最近「欠食児童」っていう言葉使わないね)。是非とも放っておいていただきたい。朝食後、手荷物をまとめ、ホテルのフロントに「テレビが故障しているので何とかしてくれ」と英語で言った後、ICEに乗るため中央駅へ。今日は、ゲッチンゲンに行く。

■中央駅〜列車:ICE972〜ゲッチンゲン駅

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 7時18分発のICE972号に乗車するため、6時50分頃に中央駅へ。DB(ドイツ鉄道)窓口で席の指定をしてもらう。3.5E也。自分はジャーマンレイルパスを持っているので、席の指定を受けなくても、また格別のチケットを買うことなく、乗車して空席に座ることもできる(ただ、そこの席を予約している客が来たときに席を明渡せばよい)。しかし、他の予約客が来たときに逐一移動するのも面倒なので、やはり指定を受けることに。

 ちなみに、予約がなされている座席にはその区間とともに表示が為されることになっているが、これはあくまでその列車が始発駅を出るまでのものを示すだけなので、それ以降に為された予約は表示されない。だから、私が中央駅でした予約は、反映されていない。

 時間が時間なので、中央駅に停車する列車からは続々と通勤客が降りてくる。おかげで、列車の中はそこら中が空席になっている。正直、これなら指定は必要なかったかな、と少しだけ思うわけだが。

 指定されたのは、6席ほどのコンパートメントの一角。2等席だが、乗り心地は新幹線の普通席と同じようなものと思ってよい。またICではなくIC「E」であるためか、座席にはラジオがついている。ただ、ヘッドホンを差し込む形式になっているのだが、ヘッドホンは席にはついていない。自分はiPodのヘッドホンを流用したのだが、他の客は乗務員に申出て借りるなどしているのだろうか。とりあえずスイッチを入れてみるが、放送はすべてドイツ語。東京FMで朝やっているような雰囲気の番組もやっているが、どういう小粋なお喋りをしているのかはよく分からない。坂上みきのディア・フレンズみたいな内容なんだろうな、と勝手に推測。

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 列車は、ハーナウ、フルダ、カッセル、ヒルデスハイム、ブラウンシュヴァイクを経てゲッチンゲンへ向かう。全般的に速いには速いが、そこまでの速度が出ているという印象はない。ちょっとした特急列車くらいの速度は出ている。が、新幹線よりは見劣りするような気がする。これがICE-Sprinterだとまた違って来るのかもしれない。

 この日も天候は基本的に曇り。車窓の上半分は良くて白、悪くてねずみ色。ただ、そこはさすがドイツで、フルダを超えた辺りから眼を奪われるような景色が立て続けに登場する。見渡す限りの広大が草原があって、その真ん中に村があり、更にその中心に教会が構えているといった、ファンタジーや宮崎駿のような風景。多分、RPGのマップに対して全く現実感を持てないのは、こうした村・集落とその外側が明確に分節された風景を、身近に経験していないからなのだと思う。思わず写真に撮りたくなってしまうが、デジカメのスイッチを入れてシャッターを切るまでの間に流れてしまうか。もしくはもっと手前にある木々が邪魔になる。ごめんICE、そんなに速くないなんて言って悪かったよ、お前大したもんだよ、だから速度落として

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 そんなこんなで、6人分のコンパートメントを一人占めしたまま、午前9時過ぎにゲッチンゲン駅着。駅構内にはキオスクやファーストフード店が10件ほど入っている。中にはバーガーキングもある(ドイツはバーガーキングが本当に多い)。そのなかの1件で、ブラートブルストを2個食う。朝食結構食べたんだけどね。せっかくだからドイツにいる間にソーセージを食っておこう、という本能が働いている。

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■ゲッチンゲン市街観光

 駅を出ると、大学生くらいの若い人達が北の方角に群れをなして歩いていく。多分、そちらに向かうと大学があるからだろう。後述するように、大学に行くのも一つの目的だが、ひとまずそれは後回しにして街の中心部を歩いておく。フランクフルトとは違った、こじんまりとしているが整然とした街。建て替えをしているものもあるだろうが、古風な雰囲気の町並みを大切に保存している、という感じがする。また少なくとも中心部に関する限り、建物の高さも(教会を除けば)せいぜい5階建てくらい。

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 そんな中に、またしても《NORDSEE》がある。しかも至近距離に2件。思わず入って、フィッシュ&チップスを食べてしまう。ドイツに来てフィッシュ&チップスを食う理由もないのだが、それにしても、かつてイギリスで食べたどんなフィッシュ&チップスよりも美味いのは、やはり両国の料理に関する才能の差を意味しているのだろうか。

 大学街であるためか、そこかしこで書店を見かける。専門書を扱っているという触れ込みの書店に入るが、品揃えじたいは昨日のHugendubelとさほど変わらないような気がする。他方、普通の書店では、大した規模でなくとも、Mangaが置いてある。ゲッチンゲンに来てもNARUTO。
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2007年03月03日

2月26日(2:フランクフルト到着後)

■フランクフルト空港→列車→フランクフルト中央駅
 飛行機を降りた後、早速、入国審査へ。「観光に来た、10日ほど滞在する」という趣旨のことをカタコトのドイツ語で言って難なくクリア。

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 近辺にあった時計で時間を合わせる。だいたい午後2時半。まあ、この時計が、どういうわけかズレてたんだけどな。空港内の売店で、ひとまずテレビ番組表だけ買う。ドイツに来てまでテレビが気になる、私はそういう不幸な星の下に生まれた子供である。

 その後、地下の鉄道駅へ。空港から中央駅まではターミナル3階からICやICEも通っているが、金が勿体無いし、レイルパスをここで1日分使うのも癪なので。切符は、その後フランクフルト市内を移動することを考えて1日券を購入。

 地下ホームから中央駅に向かうSバーンに乗車。ドイツの列車で面倒なのは扉の開閉で、乗りたい/降りたい人が自らスイッチを押さないといけない。たかがスイッチを押すだけの動作ではあるが、見知らぬ国の見知らぬ列車の見知らぬスイッチを押すことに伴う抵抗感は割と無視できない。というわけで、駅では一緒に乗り込む/降りる人に便乗して乗降することに。

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 10分強で中央駅に到着。どの出口がどこに通じているのか分からないまま、駅正面出口から道を1本渡ったところに出る。中央駅前は怪しげな雰囲気があると聞いてはいたが、さほどそういう印象は受けない。昼間だからだろうか。一部ガイドブックに書かれていた麻薬使用者もいない。但し、後で行くことになるハウプトヴァッフェよりは若干荒んだ印象があるかもしれない。とにかくそんなことより、中央駅を正面から見てると、《MONSTER》のあの名場面が想起されて、涙が出そうになるんだよ!

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■ホテル:CONTINENTAL
 フランクフルトでは1泊6000円程度のホテルを取っておいた。到底「豪奢」とはいえない設備だが、3日間寝る場所としては問題ない。テレビが不調であるという1点を除いてはな。本体のチャンネル操作スイッチのうちチャンネルを進める方が「押しっぱなし」の状態になっているらしく、何もしなくても1秒ごとにチャンネルが進んでいく、という面白状態。とはいえ、着いたばかりでクレームを入れるのは面倒なのと、すぐに市内観光に出ようと思っているのとで、すぐには申告せず。

■市内観光
 ホテルを出て市内観光へ。天気は曇。時折、傘をさすほどではないほどの雨が降る。路面バスを使ってパウル教会と大聖堂へ。1時間半ほどかけてひとしきり観覧。

 次に、事前にチェックしておいた漫画専門店COMICへ。秋葉原メロンブックスの半分程度しかない店舗の2階に、翻訳された日本の漫画が陳列されている。噂には聞いていたが、本当に《HELLSING》があるとは。その場にあった1〜3、7、8巻を購入。ついでに《クロマティ高校》1巻も購入。何でこんなものが。ドイツ人にツッパリ文化は分かるのか。否それよりも、高校の名前を「クロマティ」にすることの面白さは伝わってるのか?

 更に、ハウプトヴァッヘにある大型書店Hugendubelを目指して北上。その途上、魚専門のファーストフード店NORDSEEに遭遇。白身フライのハンバーガーとマリネらしきもののハンバーガーを食べる。後者は珍しいもの食べたさ半分で頼んだのだが、思いのほか普通に美味しい。以後、ソーセージを筆頭に肉主体の食生活が続く中、NORDSEEは一服の清涼剤のような役割を果たすことになる(どのみち動物性タンパク質だけどな)。

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 そうこうするうちに、ハウプトヴァッヘに到着。KARLSTADTやKAUFHOFなどの百貨店が立ち並ぶ風景に。敢えて日本の風景に翻訳すれば、銀座の歩行者天国を歩いているのに近い。

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 まだ空腹感があるので、KAUFHOFの向かい側にあるインビスでCurrywurst(カリーヴルスト」というものを食べてみる。焼いたソーセージを5〜6個に切り分けてそれにケチャップとカレー粉をかけた簡単な食べ物。ジャンクフード的な美味しさがあると思う。パンがくっついてくるが、これをナシにしても値段は変わらないので、いわば無料サービスなのだろう。ソーセージだけ量を食べたい時には、「ohne Brot(パン無しで)」と言い添えることにした。

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 満腹になったところで、ようやくHugendubelへ。地上4階地下1階の大型書店。キオスクと違って、雑誌類はほどんど置いていないようだ。Mangaコーナーはある。《ONE PEACE》や《HUNTER×HUNTER》等がズラリと並んでいる。専門書のコーナーを巡るうちに、法律書のコーナーへ。といっても、そこまでマニアックな本は置いていない様子。それよりも、明らかに「予備校」風の書籍っつうか「教材」が置いてあるのに少し笑った。

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 ホテルに戻る前に、KAUFHOF地下2階の食品売り場で、部屋でつまむ食べ物を買うことに。レストランよりも、こちらのお店でどのような食品が売られているのかが気になる。デパートなのでそれなりの食品が売っているのだが、お菓子コーナーのグミキャンディの充実っぷりが気になる。150種類はおいてあるのではないか。中には、我が国では到底売られていないような形状のものも売られているので、何種類も買ってしまう。このほか、ソーセージ、飲むヨーグルト、ノンアルコール飲料等を買って、Hauptwache駅からSバーンで中央駅に移動。

■ホテル→就寝
 19時半頃にホテル着。KAUFHOFで買ったものをとりあえず食べてみる。飲むヨーグルトは日本と同じ。ソーセージは素の味が日本より若干良い気がする。飲料はCOCA COLA zeroというのを買ってみたが、人工甘味料の味がDiet〜よりもマシな気がする。ちなみに100mlあたり0.25kcal

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 グミキャンディのうち特筆すべきは、ワニの形をしたものと、黒い渦巻状のもの。後者が強力。甘味よりも香料の風味が前面に出ている。10秒で吐き出した。こちらの人は、これをどう思って食うのだろうか。こういう菓子を堂々と売っているのは、てっきりアメリカだけかと思っていたが。

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 テレビをつけても例の有様で、飛行機による移動の疲れもあるし、明日も早いということで、そのままベッドへ。それにしても、この部屋はベッドが2つある
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2007年03月02日

2月26日(1:成田空港〜フランクフルト空港)

■自宅→京成上野駅→成田空港第1ターミナル

 漫画喫茶を出て、荷物を取りに帰宅。成田空港にはスカイライナーで行く予定ではあるが、距離があるので、タクシーを利用。タクシーの中で早くも寝そうになる。着いた先の京成上野駅ホームでも寝そうになる。「車内の清掃なんかいいから、さっさと座席で眠らせろ」とさえ思う。

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 京成上野駅6時47分発のスカイライナーに乗車。地下を抜け、鶯谷〜日暮里あたりの怪しげな風景を視認した辺りで早くも寝る。気がつくと、成田空港第2ターミナル駅。今のところ、徹夜作戦は大成功。そのまま眠い眼をこすりつつ、第1ターミナル駅で下車。

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■成田空港

 改札やらパスポートチェックやら、諸々をくぐりぬけて空港内へ。午前8時前なので売店もロクに開いていないが、両替所でとりあえず100Eだけ両替。それからコンビニで今週のジャンプを購入。その後、チェックイン、出国審査を恙無く終えて(但し、チェックイン直前に見かけた4人組が揃って亀田兄弟ソックリなのには瞠目した)、ロビーへ。

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 出発時刻まで1時間半。ひとまずロビーの椅子に腰掛けて、ジャンプを読む。《ユンボル》が噂どおり次週打ち切りになりそうな展開で、ちょっと凹む(そして、そんな私を隣の外国人が不思議そうな眼で見ていた)。尿意を覚えたのでトイレへ。向こうではどこのトイレでも金がかかると聞いているので、無料トイレもひとまず行き納めかと感慨深くなる。

■LH711便:成田空港→フランクフルト空港

 10時15分を回る頃に搭乗開始。搭乗の優先順位にファースト/ビジネスクラスとエコノミークラスの格差を感じながら機内へ。スチュワーデスの「Guten morgen」の挨拶を聴いた瞬間、自分がいよいよ「飛行機」に乗り込んだのだと思い、若干気持ちが沈む。

 座席は中央席の端。窓の外に広がる雲海は拝めそうになく残念。飛行機は恐いけど、キレイな雲海は見たかったりするのが人情というもの。ともあれ、着席と同時にドリエルを1錠飲む。規定量は2錠だが、今のコンディションなら半分もあれば十分だろう。

 定刻10時30分を少し過ぎた頃に、離陸。離陸直前の滑走時にえらいエンジン音がするのは、本当に人の恐怖心を煽ると思う。「ベルト締めろ、お前ら」という趣旨のランプが消えた後、ドリンクとスナック菓子のサービスがある。不味いわけがない(取り立てて美味いわけでもないが)。

 隣の女性2人組を含めて、周辺に「地球の歩き方」スペイン版を持っている人を何人も見かける。多分、フランクフルトで乗り継いでスペインを旅するのだろう。「フランクフルト空港で5時間以上も待ち時間があるのは時間つぶしに困る」という会話が聞こえる。

 その後1時間ほどして1回目の食事へ。予め座席に備えてあるメニューには、2種類(和風メニューと洋風メニュー)あったが、当然、洋風メニューを頼む。ひとたび日本の国土を離れた以上、向こうの食い物を食い続けてやろう、という構え。それでも茶蕎麦はくっついてくるが。ちょうど(朝食は別個食べているのに)空腹だったので怒涛の勢いで完食。

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 添乗員に空の食器を返却した直後、スカイライナー乗車時に匹敵する眠気が。見事、就寝。そこから先しばらくの出来事は、次の食事までほとんど覚えていない。例外は、エコノミーの共通スクリーンで上映されていた『マリー・アントワネット』の映像がやたら豪華だったことと、軽食のサンドイッチを半分眠った状態で(でも、おかわりして2個)食べたことくらい。

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 もう何時間が経過したか、尿意で目を覚まし、トイレまで歩いて行ったことでようやく覚醒。直後、2回目の食事。こちらも和風と洋風とあったが、当然後者。1回目の食事もそうだが、機内食は本当に大した量がなく、にもかかわらず毎回のように食べ終わる頃には八分目くらいになっているのは何とも不思議だ。いや、座席に座ってるだけで何もしてない以上、当然といえば当然なのだが。すかさず完食。

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 しばらくして「ベルト締めろ、お前ら、な、分かってんな」という趣旨のランプが点灯し、フランクフルト空港に着陸。着陸の時の振動で、近くにいた女性客が小さな悲鳴をあげる。そうか、恐いのは自分だけじゃなかったんだ。そんなかすかな連帯感を胸に秘めて、飛行機を降りる。
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2007年03月01日

2月25日(出発前日)

 今回の旅行は、事実上、前日から始まったといっても過言ではない。というのは、生活時間をズラす必要があったからである。では、どうしてそんなことをするのか。それは、機内で熟睡するためである。私のような臆病者にとって、飛行機は恐怖以外の何ものでもない(しかし、海外へ行きたいという欲望は抑えられない)。あんなものが空を飛ぶことじたいが信用できない。前回の旅行でも、座席についた瞬間、幼少の頃に見た御巣鷹山の映像がフラッシュバックして心が揺れた。そんな人間が飛行機をやりすごす方向はただ1つ、眠ることである。

 というわけで、前日は寝坊もそこそこに、夜は徹夜をし、搭乗までに疲労をたっぷりと溜め込むことに決定。25日は「そこそこの寝坊」どころではない15時に起床。行き過ぎた寝坊特有のけだるさの中、荷物をまとめ、アパートの隣人に挨拶を済ませる。夕食時のためか煮魚の香りがする。これから10日間、ああいうものは食えないものと心得る。笑点、サザエさん、といった日本の放送文化にも、いつも以上に触れておく。歌丸のシニカルな笑いはこれから10日間見られないものと心得る。

 21時に、すっかり眠るのが遅くなった秋葉原へ。某漫画喫茶の9時間のナイトパックで、出発に備える。その後は、《バキ》を読んで柴千春の気合と根性に涙しそうになったり、《ONE PEACE》を読んではサンジの「クソお世話に…」で涙しそうになったり、《ARIA》を読んではヴェネチアに行ってみたいと思ったり(これからドイツに行くクセに)。実は今まで腰を据えて《ONE PEACE》を読んだことがなく、その面白さに思わず感動(今更!)。思わず友人に「ワンピースって面白いな!」とメール。直後「明日から海外に行くんだからちゃんと寝ろ」という返信が届く。全くもって正論だと思った。

 席はTVブースを利用した。《まなびストレート》を観るべきかNOAHを観るべきか迷っているうちに、放送局は次々に放送終了。ここからは、物言わぬ漫画だけを友として、退出まで過ごすしかない。《火の鳥 未来編》で滅亡後の世界に一人残されたマサトの気持ちってこんなのかな、などと思う(手塚先生の英霊に呪われること必至)。

 4時前後になってフライングで眠気に襲われる。ここ数日の疲労が十分に抜けきれていないらしい。慌ててドリンクコーナーに走り、エスプレッソを3杯分汲んできて、飲み干す。しばらくして、コーヒーで眠気を鎮圧した時独特のダルさがやって来る。これで機内でグッスリ眠れるという確信と、多分スカイライナーの時点で熟睡してしまうという予感を秘めて、5時半、漫画喫茶を後にする。いよいよ、旅が始まる。
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2007年02月05日

ドイツにおけるマンガ(5):ドイツ版HELLSINGについて

 ドイツにおけるMANGAに関する最後の記事として、ドイツ語版HELLSINGのことを書きとめておきたい。

 周知のようにHELLSINGは英国国教騎士団とヴァチカンとナチスの残党が三つ巴でくんずほぐれつの死闘を繰り広げる漫画で、とくに4巻以降のハーケンクロイツの乱れ飛びっぷりのために、今日本で最もドイツで出せない漫画といっても過言ではない。だが、そんなHELLSINGにもドイツ版が存在することも、既に作者の平野耕太自身が番外編で書いているから、周知のことだろう。

 とはいえ。とはいえ、だ。いくら作者が言っているからといって、やはりそれが本当だとは思えなかったのだ。それは単に「倫理的にマズイんじゃないの?」というレベルの問題ではなく、「警察に捕まるんなじゃないの?」というレベルの問題である。

 ドイツ刑法典には、次のような条文がある。

§ 86 Verbreiten von Propagandamitteln verfassungswidriger Organisationen
(1) Wer Propagandamittel
1. einer vom Bundesverfassungsgericht für verfassungswidrig erklärten Partei oder einer Partei oder Vereinigung, von der unanfechtbar festgestellt ist, daß sie Ersatzorganisation einer solchen Partei ist,
2. einer Vereinigung, die unanfechtbar verboten ist, weil sie sich gegen die verfassungsmäßige Ordnung oder gegen den Gedanken der Völkerverständigung richtet,oder von der unanfechtbar festgestellt ist, daß sie Ersatzorganisation einer solchen
verbotenen Vereinigung ist,
3. einer Regierung, Vereinigung oder Einrichtung außerhalb des räumlichen Geltungsbereichs dieses Gesetzes, die für die Zwecke einer der in den Nummern 1 und 2 bezeichneten Parteien oder Vereinigungen tätig ist, oder
4. Propagandamittel, die nach ihrem Inhalt dazu bestimmt sind, Bestrebungen einer ehemaligen nationalsozialistischen Organisation fortzusetzen,im Inland verbreitet oder zur Verbreitung im Inland oder Ausland herstellt, vorrätig
hält, einführt oder ausführt oder in Datenspeichern öffentlich zugänglich macht, wird
mit Freiheitsstrafe bis zu drei Jahren oder mit Geldstrafe bestraft.
(2) Propagandamittel im Sinne des Absatzes 1 sind nur solche Schriften (§ 11 Abs. 3),deren Inhalt gegen die freiheitliche demokratische Grundordnung oder den Gedanken der Völkerverständigung gerichtet ist.
(3) Absatz 1 gilt nicht, wenn das Propagandamittel oder die Handlung der staatsbürgerlichen Aufklärung, der Abwehr verfassungswidriger Bestrebungen, der Kunst oder der Wissenschaft, der Forschung oder der Lehre, der Berichterstattung über Vorgänge des Zeitgeschehens oder der Geschichte oder ähnlichen Zwecken dient.
(4) Ist die Schuld gering, so kann das Gericht von einer Bestrafung nach dieser Vorschrift absehen.
§ 86a Verwenden von Kennzeichen verfassungswidriger Organisationen
(1) Mit Freiheitsstrafe bis zu drei Jahren oder mit Geldstrafe wird bestraft, wer
1. im Inland Kennzeichen einer der in § 86 Abs. 1 Nr. 1, 2 und 4 bezeichneten Parteien oder Vereinigungen verbreitet oder öffentlich, in einer Versammlung oder in von ihm
verbreiteten Schriften (§ 11 Abs. 3) verwendet oder
2. Gegenstände, die derartige Kennzeichen darstellen oder enthalten, zur Verbreitung oder Verwendung im Inland oder Ausland in der in Nummer 1 bezeichneten Art und Weise
herstellt, vorrätig hält, einführt oder ausführt.
(2) Kennzeichen im Sinne des Absatzes 1 sind namentlich Fahnen, Abzeichen,Uniformstücke, Parolen und Grußformen. Den in Satz 1 genannten Kennzeichen stehen
solche gleich, die ihnen zum verwechseln ähnlich sind.
(3) § 86 Abs. 3 und 4 gilt entsprechend.


 ここでメインなのは86a条で、86条は参照のために引用した。前者によると、憲法秩序に反する組織のシンボルを頒布したり集会や文書で使用することが懲役刑をもって禁止されており(1項)、そのシンボルには旗、記章、制服、スローガン、挨拶の仕方が含まれる(2項)。憲法/国家秩序を掘り崩すような組織から、表現の自由を部分的に犠牲にしてでも身を守る、という戦後ドイツ特有の決断が伺える規定である。もちろん、実務上は同条は必ずしも機械的に適用されるわけではなく、そのシンボルが表現物や行為のなかで有する意義や文脈を参酌して、適法性を判断するようである(旅行中に、書店でハーケンクロイツの腕章をつけたヒトラーが表紙を飾っている歴史書を見かけたが、そういう事情で適法とされるのだろう)。

 同条の規定は一般的な体裁となっているが、実際のところ、この規定が主に問題となるのは、当然ながらナチス関連である。トレードマークのハーケンクロイツをはじめとして、右手を斜めに挙げる敬礼、党歌「ホルスト・ヴェッセル・リート」等がこれに該当することになる。しかし、翻ってみれば、これらはHELLSINGの4巻以降に日常茶飯事の如くに登場する描写である。それは、数箇所を修正するとか、1話を削除するといったことでフォローできる問題ではない。果たして、ドイツ刑法典86a条に真っ向から喧嘩を売るかのようなこの作品が、ドイツで出せるものだろうか。

 売っていた。
 フランクフルトとベルリンの漫画屋では、他の漫画と同じように平然と売られていた。それだけではない。ボンでも、ケルンでも、ハイデルベルクでも、街角の書店や駅売店では、あたかもそれが人気作品であるかのように、どこでも陳列されていた。
 しかも、最新号の8巻まで全部

 筆者は最初に立ち寄ったフランクフルトの専門店「COMIC」で「ラピュタは本当にあったんだ!」とばかりに全8巻のうちその場に在庫のあった6冊を購入し、更にボンの駅売店で更に1冊を購入した。よい土産ができたという達成感に心が一杯になりかけたその時、しかし一片の不足があることに気づいた。1冊足りない。4巻がどこにもないのだ。他の巻はユビキタス!という感じで(←確実に意味を誤解している)置いてあるのに、よりにもよってあの「演説」が収録された4巻だけが、どこにも陳列されていないのだ。

 3日目のボンで7冊を揃えてから、筆者は立ち寄る本屋という本屋、駅売店という駅売店で4巻を探したが、どこの店にも4巻だけがなかった。やはりこれがドイツの限界なのだろうか。いくら他の巻は誤魔化せても、4巻ばかりはマズかったのか。出せなかったか、もしくは出したけれどもその後自粛せざるをえなかったか。

 帰国前日になり、私は最後のチャンスとして、ベルリンの専門店「GROBER UNFUG」に立ち寄った。しかしそこでも、本棚にあるのは4巻を除く7冊のみ。やはり、4巻は出ていないのだろうか。最後の勇気を振り絞って、店員に「HELLSINGの4巻は、ありませんか」とカタコトでたずねてみる。

 すると、店員は何かを察したような笑顔でレジ奥の棚をあさり始めた。数秒後に店員が振り返ると、そこにはHELLSINGの4巻が握られていた。そうか、ラピュタは本当に(r。即座に会計を済ませて店員に「どうしてこれだけ隠してあるんですか?」とたずねると、店員は、「HELLSINGは人気があるんだけど、4巻だけは描写の問題で、おおっぴらに宣伝したり陳列することができない」という趣旨の回答をした。法的には一応問題がないようにしてあるらしいのだが、どうやら売る側の自主的な判断で、4巻だけは売り方を抑制しているようなのだ。

 それで。
 ドイツ語版HELLSINGは、どこまで忠実に日本版を訳出できているのだろうか。8巻全体を対照しているわけではないのだが、以下、個人的に気づいた点をいくつか書きとめておく。

1.少佐の演説
 最も有名な場面といっても過言でない4巻186頁以下の「演説」は、総じて原語に忠実に訳されているように見える。ドイツ語版のテクストについては他のサイトで転記されているので、ここには書かないでおく。テクストの内容は全体として非常に好戦的だが、ナチスそれ自体を現す語句は少ないので、訳出可能だったのではないかと思われる。

2.ハーケンクロイツ
 4巻以降でたびたび登場するハーケンクロイツは、前記の刑法規定に配慮してか修正されている。形状は、「田」という字を斜めにしたようなものになっている。

3.敬礼・挨拶
 4巻80頁等では、右手を斜めに挙げる敬礼が描かれているが、ドイツ版でもこれは修正されていない。しかし、「ジークハイル」という言葉は問題があるのか、「Fuer das Vaterland(祖国のために)」というふうに修正されている。

4.党歌
 8巻168頁で、少佐がナチスの党歌「ホルスト・ヴェッセル・リート」の3番を歌うくだりがあるが、ドイツ版では歌詞の部分は丸ごと削除されており、吹き出しは全体として空白が目立つかたちになっている。

 というわけで、簡単ながら個人的に気づいた点につき修正の有無を書いてきた。全体として、ナチス表現に厳しいお国柄にもかかわらず、よくここまで描いたものだな、というのが個人的な感想である。

 むしろ残念に思われたのは、巻末の「ルークとヤン」が3巻を除いて掲載されていない、という点である。以前買ったイタリア版(2・4・5巻のみ)では、日本人でなければ分からないようなネタまで含めて馬鹿正直にイタリア語になっていたのだが、ドイツ版はそうではない。3巻だけ訳出されているのは、多分、おまけの「クロスチャンネル」と本編との間にこの2頁がはさまっているためだろう(2巻では「クロスチャンネル」の後であるためか、訳出されていない)。

 でも、ここはひとつ、ドイツでHELLSINGが読めたという奇跡を素直に喜んでおこうと思う。

* 追記。OURS10月号に掲載された特別編で、アニメ版HELLSINGがドイツでは18禁になっている、という記述があった。ドイツでは映画をはじめとするオフライン映像メディアについてはFSKという自主規制団体がレーティングを行っていて、「18歳未満販売禁止」はそのなかでも最も厳しいレートである。ちなみに、18禁指定を受けている映像作品には、他にJACKASSやマイアミ・バイスがある。
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2007年02月04日

ドイツにおけるマンガ(4):「推奨年齢16歳以上」?

 (3)で触れた通り、ドイツではNARUTOやワンピースと並んで《ふたりエッチ》がそこかしこで売られている。現在のところ日本では33巻まで出ているが、このうち31巻までがドイツでも翻訳・販売されている。加えて、for Ladiesも2巻まで翻訳・販売されている。さて、そんな本作品の表紙には、次のように書かれた赤いステッカーが貼られている。

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 Empfohlen ab 16

 ここで「Empfohlen」というのは「推奨される」といった意味で、「16」というのは「16歳」という年齢を指すものと思われる。つまり、このステッカーが言わんとするのは「16歳以上推奨」または(「推奨」という言葉が積極的・肯定的すぎるニュアンスを出してしまうようであれば)「対象年齢16歳以上」、ということであろう。

 ここで直ちに想起されるのは、日本で一部雑誌・マンガに付されている、18歳未満購入禁止を意味する「成人コミック」マークである。この種のマークは、その雑誌やマンガに含まれる表現(実際には主に性表現)が青少年に与える影響を考慮して付されているものだが、おそらく「Empfohlen〜」ステッカーも《ふたりエッチ》の性表現に鑑みて付されているのだろう。ここで年齢が日本と異なり「16歳」となっているのは、ドイツで施行されている青少年保護法(Jugendschutzgesetz)において日本でいう「18歳」に相当する「成人」が16歳に設定されていることと、平仄を合わせたものであろう。

 では、こうしたステッカーによる「推奨年齢」「対象年齢」表示は、どのくらい強い意味を持っているのだろうか。上述のようにドイツでは連邦レベルで青少年保護法制が整備されている一方で、各種メディアに関する自主規制が組織的に行われており、例えば映画やビデオ・DVDにおいてはその自主規制活動が青少年保護法制に基づく措置と連動している。そうしたことから、「もしかすると既にMangaについても何らかの自主規制組織が存在して年齢指定を行っており、しかもそれが法的効力を持っているのだろうか?」などと思われたのである。

 というわけで、ベルリンの専門店GROBER UNFUGの店員に、思い切ってこのへんの事情を聞いてみた。カタコトだけどな

 店員の話によると、基本的に、このステッカーは当該商品を出版している出版社が、全く自主的につけているそうである。現在に至るまでMangaが青少年保護法制に照らして当局から何らかの指導なり処分を受けた事件はないし、Mangaを翻訳・出版している出版社が自主規制の組織やガイドラインを形成しているわけでもない。だから、ステッカーを貼るにあたっても、法令や業界組織による基準に照らして判断しているわけではないし、また外部からの求めに応じて貼付しているわけでもない。

 また、ステッカーの意味も「〜〜歳未満の方には販売しません」といった強いものではなく、「〜〜歳以上になってから読むことをお薦めします」という程度にすぎない。その意味では、客に対する情報提供/アドバイスの一種とも言える。店員によれば、例えばヒップホップのCDにくっついているADVISORYマーク(参考)と同じような意味合いだという。

 このような「推奨年齢」「対象年齢」表示は、もちろん、《ふたりエッチ》だけに為されているわけではない。上記の話を聞いたGROBER UNFUGで他のMangaの表紙・裏表紙を改めて見ると、他にも同旨とみられる表示がある。

 例えば、《ふたりエッチ》同様のステッカーは《天上天下》や、一部少女マンガ(筆者は不勉強なので元タイトルを知らないが、男性どうしの性行為を思わせる描写がそこには含まれていた)にも貼付されていた。

 また、個別の作品にステッカーを貼付するのではなく、統一的な形式に基づいて(同じ出版社から出されている)すべての作品に表示を行う場合がある。例えばTOKYOPOPから出版されているMangaは、見かけたものは全て、裏表紙の上部にジャンルと対象年齢を示す表示が存在する。《DEATH NOTE》であれば「Krimi/Mystery 15+」、《苺ましまろ》であれば「Comedy 13+」、といった具合に。なるほど、こうしてみると、「販売禁止」という強いものではなく、オモチャの「対象年齢」のようなソフトなものだ、というのも納得である。

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* 推奨年齢表示の例。上がDEATH NOTE、下が苺ましまろ。(クリックで拡大)

 もちろん、こうしたソフトな「推奨年齢」「対象年齢」表示であっても、それがもたらす社会的影響は様々であり、一概にそれがプラスの効果をもたらしているわけではないだろうし、まして、同じ制度を日本に導入すべきだと言うつもりもない。ただ、含まれている表現の方向性や程度に応じてそのような表示を行っておき、読み手やその保護者による判断に委ねることは、表現物に関する青少年保護の1つのありかただと思うし、少なくとも法令による頭ごなしの指定・制約よりも遥かに柔軟性のある手段であるとも思う。

 などという、ドイツのManga業界のちょっと真摯な実情に触れて、真面目なことを少し考えたりもした。もちろん、《ふたりエッチ》は買ったよ
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2007年02月03日

ドイツにおけるマンガ(3):品揃えは、どうなっているのか?

 では、Mangaが販売されているそれぞれの場所で、品揃えはどうなっているのだろうか。先の記事の分類でいえば、専門店が相当の充実度であるのは当然のことだが、一般書店や駅売店も見過ごせない充実度である。

 一般書店でも駅売店でも、例えばNARUTOやワンピース等の(現地でも)人気作品は半分以上の巻が置いてあるし、それに加えて一騎当千やローゼンメイデン等のややマニアックな作品群も当たり前に陳列されている(但し、こちらは最新刊だけ、という場合もあるが)。とくに駅売店の品揃えは、日本の駅のコンビニやキオスクでは最新刊と若干の廉価版が置いてあるだけなのに対して、いわば「本国」を凌駕していると言ってもよい。

 ところで、駅売店で売られているMangaのセレクションについて、筆者には気になることがある。このような場所では、通勤客や旅行客を含めマンガに余り入れ込んでいない客にも、しかも限定された面積で商売をせねばならない以上、陳列する作品にも自然としぼりがかかって来ようはずである。事実、常に置かれているのは、NARUTOやワンピースといった(現地でも有名な?)作品である。

 しかしここでもう1つ、ほとんどのキオスクで全巻が売られているマンガがある:《ふたりエッチ》である[ドイツ語版の表題は「THE MANGA LOVE STORY」]。毎回毎回読者にナイトライフの技法を啓蒙し続けるこのマンガが、そもそもドイツで訳されているというのが驚きだが、それがどういうわけか、どこのキオスクにも陳列されている。しかも全巻NARUTOとかと同じ棚で

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* ゲッチンゲン中央駅のキオスクにて撮影。NARUTOの隣にふたりエッチ。(クリックで拡大)

 一体、ドイツ人は何を思って《ふたりエッチ》をそこまでプッシュするのだろうか。エロ本と同じ感覚で読む人でもいるのかと思ったが、そういう様子もない。ともかく、どこのキオスクでも売られていて、めくるたびに、主人公の若夫婦があの手この手で馬鍬っている。その理由は結局、旅行が終わるまで分からなかったが、ゆるぎない印象が私の中に残っている。

 ドイツは今、確実に、始まっていると思う。
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2007年02月02日

ドイツにおけるマンガ(2):どこで、いくらで、売っているのか?

 次に、こうして「垂れ流し」的に翻訳されているマンガ=Mangaが、具体的にどのような場所で、どれくらいの価格で売られているのか、について書いておきたい。

A:どこで?

 第1に場所について。基本的には日本と同じような感じである。一般書店には「Manga」コーナーが設けられているし、数はさすがに日本には劣るが専門店もあるし、また駅構内にある売店でも販売されている。

 第1に、一般書店について。全ての、とは言わないけれども、そこそこの規模の書店であれば、必ずMangaのコーナーが設けられている。筆者が実際に行った中では、例えばフランクフルトおよびベルリンのHugendubelやボンのBouvir、またベルリンのDussmannにはそういったコーナーが設けられていた。しかも、アメコミ等と日本のマンガはジャンル自体が違うと認識されているのか、多くの場合、前者は「COMIC」・後者は「MANGA」という括りになっている。

 第2に、駅のキオスク。別の箇所でも触れる予定だが、ドイツの主要な鉄道駅には必ず「Presse&Bücher」と言った名称の、新聞・雑誌・書籍を扱う売店がある。そして、そのようなキオスクは必ずといって良いほど、Mangaを取り扱っている。しかも分量の点でも、申し訳程度に置いてあるというレベルではなく、回転式の陳列棚なども使いながら100~200冊程度が陳列されている。また、場所によってはショーウィンドーがあるのだが、おそらく現地で出版業務を行っている企業によって、等身大ポップなどの宣伝が行われていることもあった(筆者はボン中央駅およびベルリンのAlexanderplatz駅で目撃している)。

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* ハイデルベルク中央駅のキオスク。中央やや左にある赤い回転式書架にMangaが陳列されている。ちなみに下から4段目の赤い背表紙はHELLSING。

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* ボン中央駅のキオスクのショーウィンドー[クリックで拡大]

 第3に、Manga専門店。こちらのサイトでも紹介されているように、ドイツにもマンガやゲームを扱う専門店はある。筆者が立ち寄ったのは、フランクフルトのCOMIC、およびベルリンのGROBER UNFUGの2件。
 このうち前者は、フランクフルトの中心街ハウプトヴァッヘをやや南に外れた辺りにある2階建ての店で、売場面積は合計でアニメイト秋葉原の1階分程度である。店舗の1階は主にアメコミとその流れを汲む作品が中心であるのに対して、2階はMangaコーナーで、立ち読みならぬ「座り読み」をしてもらうために数個の椅子が用意されている。
 これに対して後者は、ベルリンのWeinmeisterstrasse駅(U-Bahn)付近に位置しており、売場は1階のみで、面積は同じくアニメイト秋葉原店の1階分程度。こちらはMangaを中心としたホビーショップの趣きがあって、アニメのDVD(日本版含む)や日本の音楽雑誌なども売られていた。そういえば、浜崎あゆみのポスターも飾られていたよ

B:いくらで?

 第2に価格について。既に指摘されているように、海外におけるMangaは日本におけるよりも割高である(現地の金銭感覚は厳密には分からないが、少なくとも日本円に換算した場合、日本版の価格よりも高い)。

 ドイツにおいてもこの事情は同じで、日本でマンガを買うのと同じ感覚では難しい価格設定がなされている。出版社によっても作品によっても差異はあるが、例えば日本でいう少年・少女マンガを主に扱っているEGMONTやTOKYOPOPの場合、大半の作品が5〜6.5ユーロくらいで販売されている。また日本でいう「大人コミック」を主に扱っているPANINICOMICSの場合は、7〜8ユーロくらいのものが大半である。

 これを単純に日本円に換算すると、1ユーロを150円として、前者がおよそ750〜1000円、後者がおよそ1100円〜1200円、ということになる。つまり、日本の2倍前後なのである。総じてドイツの書籍は日本に比して割高な印象があるが、それにしても2倍というのは高額である。

 しかも、以前の旅行でイタリアで購入したMangaは、例えばエクセル・サーガがおよそ4ユーロ、ちょびっツやラーゼフォンがおよそ3ユーロという具合に、全体としてドイツよりも安価だったのである。

 このようにMangaが高価になる理由は定かではないが、著作権や翻訳の手間などが関係しているのだろうか。また一つには、日本におけるほど大量には製作しないために、単価が上がっているのか、とも思う。

 現地では、日本のようにごく普通の子供がMangaに飛びついて買っていく風景を余り見かけず、むしろ大学生以上の、しかもそれなりに金を持っていそうな人ばかりがMangaを物色していたのだが、もしかするとそれはこうした価格に関する事情と関係しているのかもしれない。
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2007年02月01日

ドイツにおけるマンガ(1):何が「輸出」されているのか?

 旅行中最も驚かされたのは、ドイツにおけるManga(周知のことだろうが、日本のマンガを現地ではこのように言う)の浸透度である。欧米で日本のマンガやアニメが人気だという話は既に有名だし、以前の旅行でもイタリアで現地語訳された日本のマンガを買いあさった記憶がある。が、そんな筆者にとっても、ドイツにおける浸透度は「異常」としかいえない。あの国どうかしてるぜ、マジで。

 というわけで、独立のカテゴリを設けて、筆者が見聞きした限りでのドイツのManga事情らしきものを紹介しておきたい。あくまで、一つの切片にすぎないけれども。

 まず、端的に、どのくらい/どういうマンガが翻訳・出版されているのか。端的に言って、何でも訳されている。それはもはや「垂れ流し」と言ってもよい。「何でこんなものまで翻訳するんだよ」と言いたくなるような品揃えである。以下、筆者が現物を見かけたものを列挙してみる(あくまで一例として!):

ドラゴンボール、NARUTO、ワンピース、HUNTER×HUNTER、DEATH NOTE、クロマティ高校、コナン、MAR、NANA、CLAMP学園探偵団、まほろまてぃっく、ヘルシング、ローゼンメイデン、一騎当千、苺ましまろ、ゆびさきミルクティー、エマ、GUNSLINGER GIRL、ふたりエッチ、ベルセルク、フルメタル・パニック、ふしぎ遊戯

 また、現物は確認しなかったが、購入したマンガの巻末に掲載されているリストにも、例えば以下のような気になる作品の名前があった

フルメタル・パニック、KIRARA、ヘルシング(アニメコミック版)、天上天下、藍より青し、xxxHOLiC

 …という状況である。このほか、筆者は具体的に作品名を知らないが、少女マンガも大量に翻訳されていた。上記のリストからも分かってもらえるとは思うが、特定のジャンルや媒体、傾向の作品が特に訳されているわけではなく、日本である程度名の通っている作品は(というか「通好み」の作品までもが)、かなりの率で翻訳されている。

 ちなみに、DEATH NOTEは4巻までしか訳されていないが、まほろまてぃっくは全巻訳されている。藍青も全巻訳されている。苺ましまろは(惜しいことに?)まだ1巻しか訳されていないようだ。

 なお、以下に現地でMangaを出版している代表的な企業のサイトへのリンクを張っておく。それらに掲載された刊行物リストを見ると、本記事に紹介されていない驚くべき「現状」が分かるだろう。

 ・PaniniComics.de
 ・TOKYOPOP
 ・Egmont:MangaNet
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